法も倫理も、人間が決めるものではなく、自然から発見するものです。それゆえ、時代や人間の発達段階によって、法も倫理も進化していきます。
かつての常識が現代の常識とは違うように、現代の常識は、未来の観点から見ると常識ではなくなるでしょう。
人間の歴史は、あらゆる段階で暴力的な慣習を廃止してきました。「3つの原理」を著した歴史学者ローレンス・トーブ氏は、奴隷制が廃止され、女性が人権を獲得しつつある中、次に来る潮流の一つとして、動物の解放を上げています。
動物の権利運動も主要な政治勢力となるだろう。アルバート・シュヴァイツァーの「生命への畏敬」の精神を感じ取り、人間は別種の生き物に関しても、「Do the right thing = 正しいことをする」べきだと気づくようになるだろう。その理由は簡単で、それが正しいことだからだ。
いずれは食肉の習慣や、狩猟、闘牛などの残酷な「スポーツ」に終止符を打つべきだという感覚が広がり、それが人間同士の触れ合いや強調を深めることにもつながるだろう。これは議論や討論で知的に説明できるものではない。一種の「精神の命令」に衝き動かされたもので、かつて食人習慣や奴隷制、専制君主の暴政に終止符を打たせたのも、これと同じ「精神の命令だったのである。
人間の集合体である社会や国は、それを構成している個々人の発達段階に比例して発達していきます。世の中が暴力に満ちているのは、個々の暴力性を反映しているからにほかなりません。社会や国をより平和に導くには、それを構成している各人が、自分たちの暴力的な生活や思考の習慣に気づいて、それらを改めるしかありません。